「今度こそ頑張ってダイエットしよう!」と決心しても、ついお手軽でハイカロリーなメニューを選んでしまったり、食事の合間にお腹がすいてスナック菓子に手が伸びたり。「また誘惑に負けてしまった......」と自己嫌悪に陥るのはよくあるパターンだ。
しかし、最新の研究によると、ダイエットを成功させるのに本当に必要なのは、自制心ではないらしい。
[an error occurred while processing this directive]米・コーネル大学のBrian Wansink氏らは、過去に行われた食事療法に関する112件の研究を分析。健康的な食べ物を自然に選ぶようにするには、「便利(Convenient)」で、「魅力的(Attractive)」で、「日常的(Normal)」であること――それらの頭文字を取って「CAN」がそろう必要があることを突き止めた。
積極的に食べたいものは便利な場所に
一般的に人は、食についての選択を1日に200回以上もしているという。従って決定の大部分は、素早く直感的なものであり、「何をどれだけ食べればよいか」をゆっくり分析する時間はない。そのことから「ヘルシーな食べ物を自然に手にする環境を整えることがダイエット成功の近道であり、それがCAN法なのです」とWansink氏は言う。
CAN法を実践するにはまず、健康的で望ましい食品を「便利な選択肢」にすること。たとえば、自宅では果物かごを手の届きやすい場所に置く。リンゴとバナナなど、2種類以上の選択肢があればモアベターだ。もし車の鍵置き場の近くに果物かごがあれば、外出の際にリンゴなどをさっと持参でき、お腹がすいたら食べられる。出先でジャンクフードを買うことも避けられるだろう。
また、野菜も買ってきたら冷蔵庫の奥にしまうより、できるだけキッチンカウンターなどの目立つ場所に置くほうがいい。そうすれば調理でもすぐに手が伸びるので、便利で魅力的な選択肢となるからだ。野菜や果物を身近なものにするには、缶詰や冷凍ものも積極的に利用すべきとWansink 氏は言う。もし生にこだわるなら、カット済みの野菜を利用するのもよい。
家庭だけではなく学校でも、CAN法の効果が認められた例がある。食堂でチョコレートミルクの代わりに普通の白い牛乳を売り場の手前に置き(便利)、見栄えのよいボトルに入れ(魅力的)、売り場の半分以上を占めるようにする(日常的)と、子どもたちの普通の牛乳の消費量が30%から60%に増加したという。
ちょっとした行動の改善で減量が成功!
ジャンクなものよりもヘルシーな選択が便利であれば、より日常的なものとなる。リンゴが便利で日常的であれば、人は焼き菓子よりリンゴを選びたくなる。これは消費者の行動を変える簡単で迅速かつ有効な手段の一つだ。
他にも、食生活を改善できる小さな工夫として次のようなことがある。
■スナック菓子などの高カロリー食品を目立つ場所に置かない。
■料理や食品を小さめのお皿に盛る。満足感が得られやすく、食べる量を減らせる。
■食料品店にいくときは空腹時を避けよう。空腹で買い物をすると、気づかないうち高カロリー食品を買い求めてしまう傾向がある。
■テレビを見ながら食べると無意識に食べ過ぎるので、テレビを消す。
■食事の間隔を空けすぎない。特に夕食の時間が遅いと「どか食い」につながりやすいので注意。
Wansink 氏によると、食事にこうした小さな工夫を加え、月に25日以上続けることができれば、かなりの確率で体重コントロールに成功するという。
アメリカと日本では食習慣やそれが抱える問題に違いがあるものの、CAN法の考え方はさまざまに応用が利くのではないだろうか。たとえば、ダイエットに良い豆や乾物などは戸棚にしまい込まず、瓶に入れてきれいに並べておけば、グンと日常的に使いやすくなるだろう。
健康的にダイエットをしたい人はぜひ一度、自宅の食べ物のストック場所や、ディスプレイの方法を見直してみてはいかがだろうか?
(文=編集部)