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ネコはヒトと遺伝子が似ている? 新たな治療法を招く"救世主"かもしれない!?

新たな治療法を招くネコ? kash76/PIXTA(ピクスタ)

 愛猫の愛らしい姿を見るだけで、疲れが吹き飛び、心を癒される人は多い。また他所の猫でも、そのくつろぐ可愛らしい様や無邪気な寝姿は人の心を和ませるものだ。

 ところが、"猫"と聞いて眉をひそめる人も少なからずいる。気まぐれでマイペース、飼い主に忠実な犬に比べれば、扱いにくい存在かもしれない。だが、猫は人間を病から救う"救世主"になるかもしれないのだ。

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 英科学誌『ネイチャー』は2014年、3匹のネコの全ゲノム解析結果を掲載した。ちなみに解析されたのは、アビシニアンの雌猫「シナモン」、ロシアの雄猫「ボリス」、ヨーロッパ系猫「シルベスター」。

 この研究チームは、ネコがヒトの病気に似た250もの遺伝病を持っていることに注目。その結果、ネコとヒトの遺伝子を比べることで、ヒトの糖尿病や喘息、エイズなどの病気の原因や治療法を解明できる可能性があるとしている。

 たとえば2004年、ミズーリ大学の研究チームは、先天性腎疾患である「多発性嚢胞腎」は、疾患を引き起こす遺伝子変異がヒトとネコで同じ遺伝子に起こることを発見した。

 ゲノム解析チームは、さらなる研究のため専門の組織を立ち上げ、ネコの血液サンプルの提供を呼び掛けている。

新たながん治療がネコにいる寄生虫から生まれる?

 ネコの糞には、「トキソプラズマ原虫」という単細胞の寄生虫が存在する場合がある。妊娠中の女性がトキソプラズマに感染すると、胎盤を介して胎児が水頭症や脈絡網膜炎を起こすことがある。注意すべき原虫だが、ヒトのがん治療に効果があるとの研究が発表された。

 米ダートマス大学ガイゼル医学部の研究チームは、トキソプラズマ原虫から無毒性のワクチンを作り、メラノーマ(皮膚がん)に侵されたマウスに注射した。6回の実験で、12日後には検出不能なほど腫瘍を縮小させることに成功し、その結果90%のマウスが生き残ったという。

 このワクチンでは、より攻撃性の強い卵巣がんにも試されたが、残念ながらよい治療成績には至らなかった。だが、研究チームのデビット・J・ビジック教授は、トキソプラズマによるワクチンで、免疫療法の発展が期待できるとしている。

猫アレルギーのメカニズムを解明、も治る可能性が

 医学的に見て、猫は人間の役に立ちそうだ。それでも、「猫アレルギー」で敬遠する向きもあろう。猫と遊ぶと目が真っ赤に充血し、鼻水がすすり、くしゃみが止まらない......。猫アレルギーの人は、どんなに猫を愛していても一緒に暮らすことは絶対ムリと思うはずだ。

 だが2013年、英ケンブリッジ大学の研究者が、ネコに対するアレルギー反応のメカニズムを解明した。

 ネコの唾液に含まれるアレルゲンは、「Fel d 1」というタンパク質だ。毛繕いによって体表に付着し、それがバクテリアの毒素に接触することでアレルギー反応を誘発する可能性があるという。

 同大学獣医学部のクレア・ブライアント博士は、「今回の研究では、猫だけでなく犬アレルギーの患者にも効果的な治療法がもたらされることに期待する」とコメントしている。

 このように"人を救う"可能性をもった猫たち。健気にも人間の役に立つかもしれない猫の姿には、イヌ派の人も、猫をそっと撫でてみたくはならないだろうか?
(文=編集部)

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