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【連載第14回 薬は飲まないにこしたことはない】

骨粗鬆症の処方薬は必要ない! 胃潰瘍や十二指腸潰瘍をはじめとする副作用の可能性に目を向けるべきだ

骨粗鬆症という病名は、20年ほど前にとつぜん生まれた shutterstock

 近年、40歳を超えると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のリスクが喚起されるようになり、5年刻みで節目検診を行う自治体も多くなってきた。しかし、かつては「骨粗鬆症」と呼ばれる病気など存在はせず、約20年前に、いきなりこの病名が登場したのである。

 骨粗鬆症の大きな指標には次の2点が挙げられる。

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●成人(20歳~44歳)の平均骨密度を正常値(100)として、自分の現在の骨密度はその何パーセントか。
●25歳の時の自分の身長と比較して、現在はどれぐらい低くなっているのか。

 これらに加え、X線検査、血液検査、尿検査、問診などを行う場合もある。

 だが、高齢になったら骨密度が減り、身長が縮むのは当然のこと。それなのに「若い頃と比べて骨密度や身長が低くなったから病気だ」として治療を勧めるのは、あまりにも安易な気がしてならない。こうしたことから、私はこの病気の存在自体に疑問を抱いている。
 
 骨密度が低下すると、若い頃よりも骨折しやすくなるのは当たり前である。しかし、普通に生活している分には骨折することは少ない。骨折の原因の多くは転倒だ。これは、老化により筋肉や関節が衰えて躓(つまず)きやすくなることと、骨がもろくなったことが重なって起こるものだが、転倒しないような身体を作れば骨折は防ぐことができる。それなのに骨密度が減った人を病人として扱い、薬を服用させ続けることは少しおかしくないだろうか。

ビスフォスフォネート(BP)製剤の副作用による深刻な病気とは?

 骨密度や骨量の低下は、閉経前後に女性ホルモンのエストロゲンの分泌が減少するために起こる。そのため、以前の治療では女性ホルモン補充療法が中心に行われていた。ところが、この治療に発がんリスクが疑われるようになり、別の新薬が開発された。フォサマック、ベネット、ボナロン、アクトネルなど、ビスフォスフォネート(BP)製剤と呼ばれるものである。

 実はこの薬には大きな問題がある。

 まず、必ず起きた直後の空腹時に食道に薬を残さないよう十分な量の水で飲み、服用後30分間は上体を起こしたままでいなくてはならない。これは、かなり刺激の強い成分が薬に含まれており、すぐ横になると逆流性食道炎を起こす恐れがあるからだ。また、この強い刺激は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因になる可能性もある。

 さらに、これらの薬には、腹痛や便秘、膨満感、吐き気、目のかすみ、むくみ、頭痛、関節痛、筋肉痛などさまざまな副作用リスクがあり、前述の胃潰瘍や十二指腸潰瘍、顎骨骨髄炎(アゴの骨の炎症)、顎骨壊死(アゴの骨の壊死)という深刻な病気をもたらす場合がある。

 それにもかかわらず、骨粗鬆症薬の処方量は増え続けている。理由のひとつは、患者に対するリスクの説明が徹底されていないことにある。「必ず起こるとは限らない副作用を聞かれもしないのに説明したら、患者が薬を飲まなくなる」と考えるのは、骨粗鬆症に限ったことではなく医療の世界ではよく見られる傾向だ。

 このことからも、医師の説明を聞くだけでは自分の身体を十分守れないことがわかるだろう。幸いなことに、ネットには薬の副作用に関する多くの情報が掲載されている。また、患者本人から副作用について聞かれれば、その時は医師も説明してくれるはずだ。自ら質問したり調べたりすることは、自分の身体のためにとても大切なことなのである。


連載「薬は飲まないにこしたことはない」バックナンバー

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