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"アルコールハラスメント"は殺人罪!? 飲めても飲めなくても危ない急性アルコール中毒!

アルコールハラスメントになっていませんか?

 花見に新入生歓迎会、バーベキュー......。酒宴に飛び交う「イッキ! イッキ!」コール。そこに酒を飲まないという選択肢はない。その結果、急性アルコール中毒で、東京都だけでも毎年1万人以上が病院に救急搬送されている。そして恐ろしいことに、毎年のように数人が死んでいる。

「本人が飲んだんだから、死んでも本人の責任」

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 そんな甘い考えでいると、恐ろしいことになる。酒を強要する「アルコールハラスメント」は犯罪だ。2008年、大学の部活動の合宿中に死亡した学生の親が大学と当時の部員20人に約1億円の損害賠償を求めた訴訟で、裁判所は「心理的に飲まざるをえない圧力をかけた飲酒の強要であり、アルコールハラスメントにあたる」と認定した。「イッキ!」コールで殺人者とならないために、酒に強い人でもなる急性アルコール中毒の怖さ、「伝統」や「空気」という心理的圧力の危険、万が一の場合の正しい救護方法などを知っておきたい。

酒が強くても、一気飲みで急性アルコール中毒に

 

 急性アルコール中毒とは、短時間に大量のアルコールを摂取することで生じる中毒症状のこと。ふつうの飲み方の場合、最初は陽気になったり、少し行動がとろくなったりする程度の微酔期(びすいき)から始まり、千鳥足の酩酊期(めいていき)を経て、錯乱したり、記憶を失ったり、立ち上がれないなどの泥酔期(でいすいき)、意識喪失して昏睡の果てに死に至ることもある昏睡期(こんめいき)へと至る。そのため、当人も周囲もあるていど酔いの状態を把握できるため、命の危険がある状態にはなかなか陥らない。

 しかし、一気飲みなどでは、微酔期や酩酊期を飛ばして、一気に泥酔期や昏睡期に達してしまう。アルコールは脳を麻痺させていく。昏睡期では麻痺が脳全体に及び、呼吸を司る延髄も麻痺して、呼吸ができなくなり、大小便はたれ流し、呼吸はゆっくりと深くなり、死に至る。また吐いた物が喉に詰まって、窒息死することも多い。

 微酔期はエタノールの血中濃度が0.1%未満、酩酊期が0.2%未満、泥酔期は0.3%未満、0.3%を超えると昏睡期。血中エタノール濃度が0.4%を超えると1~2時間で約半数が死亡する。たとえ死ななくても、ここに至ると、脳細胞の一部が破壊されてしまう。ポイントはアルコールに含まれるエタノールの血中濃度が脳の麻痺を決めるのであり、酒に強いか弱いかは関係ないということ。「酒に強い」とはエタノールが分解された後にできたアセトアルデヒドの分解能力の有無に関する話であり、エタノールの分解能力とは関係ないからだ。酒に強くても、一気飲みで急性アルコール中毒になる。

 酒に強く、二日酔いにもならない人でも、いや、そういう人ほど、飲んだ時の記憶をなくす経験をするのは、頭痛や吐き気などを起こさせるアセトアルデヒドの分解能力が高くて、気持ちよく飲めるために、エタノールの血中濃度が高くなる泥酔期に至るほどの量を飲んでしまうからだ。

「伝統」で続くアルコールハラスメント

 

 アルコール・ハラスメントは飲酒にまつわる人権侵害で、からんだり悪ふざけしたりといった、酔ったうえでの迷惑行為も含まれるが、急性アルコール中毒につながるのは飲酒の強要、イッキ飲ませ、意図的な酔いつぶしなどだ。イッキ飲ませで子どもを失った親が中心になって設立した市民団体「イッキ飲み防止連絡協議会」によれば、アルハラの動機の1位は「伝統・しきたりにのっとって」、2位「場をもりあげるため」、3位「連帯感を深めるため」。

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