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寝たきり大国200万人時代が到来! 栄養管理は? 体重管理は?

寝たきりの患者の体重管理は大きな問題 shutterstock

 脳卒中や足腰の骨折などで寝たきり状態になると、途端に「介護」の二文字が家族に、そして周囲に、重くのしかかる。メタボリックシンドロームやロコモティブシンドロームなど、脳卒中や足腰の骨折を防ぐため、厚労省は躍起になっているが、がん健診や健康診断同様、疾患の実数はあまり減ってはいないようだ。

 一旦、寝たきり状態になるとなかなかベッドからの脱出は難しく、3年以上寝たきりの人は全体の半分以上だ。そのまま看取りまでいく確率も高くなる。核家族化で近くに身寄りがいない人や、単身住まいも多い。どうしても寝たきりになると、従来は病院など施設での看護・介護という状況だった。

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 現在ではまだ、交通などの不便さや質を問わなければ、受け入れてくれる施設もあるが、それも金しだいだ。「やがて年間100万人は在宅での看取りや、のたれ死に状態は目に見えている」と宣言している医療経済学者もいるほど。将来はまったく明るいものではない。

 夫が脳梗塞で2年間、在宅で看護している家族も在宅診療所の医師から「看取りは病院で? 在宅で?」と質問を突きつけられて困ったという話もある。「できれば看取りは病院で」と言っても、病院は急性期と慢性期に国から仕分けされ、急性期病院に手厚い加算がされている。多くの病院は「うちは急性期病院!」と届けており、在宅看取りを宣言している家庭からの救急車は受け付けないという病院もあると聞く。すでに行き場のない状態だ。

病院ではチーム医療で管理される

 運良く入院できても、病院ではいまチーム医療が盛んに行われている。医師、看護師、薬剤師、栄養管理士、理学療法士など各専門家がチームを組み、それぞれの意見を集めて効率的な医療を行う。

 病院をはじめ老健や養護老人ホームなど、高齢者を預かる施設での長期滞在者は栄養の管理が厳しく行われている。単に食事だけでなく胃ろうなどの経管栄養や、糖尿病管理などに体重の管理は必須だ。ところが、寝たきりの患者の体重管理をどのようにするかが、いま大きな問題となっている。

 施設ではこれまで、男の強力ヘルパーが在所者を抱きかかえて、一緒に体重計に乗って測っていたこともある。2人の介護者が患者をシーツなどに乗せて、2台の体重計を使って測るなどいろいろと苦労している状況だ。

 しかし現在では、さまざまな形状の体重計も開発されている。もちろんベッドに計り機能をつけたもの(約150万円)や、入浴時に風呂へ運ぶ時などに使われるストレッチャーに計りがついているものなど、各社で工夫を凝らしている。

 起き上がれる人なら、体重計つきの車椅子に乗せて測る方法もある。さらに秤のように、ベッドマットと患者の身体の間に板状のものを入れ、4隅を釣り上げて測るスケールもある。

 また、体重計のない施設や在宅療養の現場では、上腕三頭筋の皮下脂肪を測定して脂肪量や筋肉量を算出し、体重を推計する方法もある。いずれにしても、あの体重計の会社のように、社員食堂でもしっかりと健康管理し、社内健康競争でもしない限り、誰もが寝たきりになる可能性は否定できないのだ。
(文=編集部)

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