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中年の1日2杯以上の飲酒は、高血圧や糖尿病よりも脳卒中の危険を高める!

1杯でがまんできるだろうか...... shutterstock.com 

 今日はやめておこう、と思ってもつい飲んでしまう。軽く一杯では終わらず、深酒をしやすい――。お酒飲好き人間にはよくある話だが、特に中年層のこうした飲酒習慣は非常に危険らしい。

 先ごろ米国心臓協会(AHA)発行の「Stroke」オンライン版に掲載された論文によると、50歳以上で大量飲酒をしていた人は、遺伝や若い頃の生活習慣とは関係なく脳卒中の発症リスクが高くなるという。チェコ・聖アン大学病院国際臨床研究センターのPavla Kadlecova氏らの研究で明らかになった。

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中年期の大量飲酒が危ない

 この研究ではスウェーデン人の60歳未満の同性の双子 1万1644人を対象に、1967〜70年にかけてアンケートを実施。その後43年間にわたり、病気の治療歴や死因データなどを追跡調査したという大規模なもの。被験者を「非飲酒」「軽度飲酒」「中等度飲酒」「大量飲酒」の4つに分類し、飲酒と脳卒中との関係を分析した。

 その結果、追跡期間中に対象者の約30%が脳卒中を発症。1日あたりの平均飲酒量が2杯超の「大量飲酒群」と、1日平均2分の1杯未満の「軽度飲酒群」を比べると、大量飲酒者の脳卒中リスクは軽度飲酒者より34%も高く、さらに50〜60代の中年期の大量飲酒者は、脳卒中を発症する年齢が平均5年も早かった。

 さらに中年期の大量飲酒は、高血圧や糖尿病などに匹敵するほど脳卒中リスクを高める。また一卵性双生児同士で分析しても、脳卒中を発症した方は発症しなかった方より飲酒量が多かったことから、中年期の大量飲酒は遺伝的素因や若年期の生活様式にかかわらず、脳卒中リスクを上昇させることが示唆された。

 飲酒が脳卒中のリスクに関係していることは過去の研究でも分かっていたが、年齢による影響の違いを具体的に示したのは今回の研究が初めてだ。研究者は「まだ元気なはずの60代が脳卒中を避けるには、1日平均2杯を越える飲酒はしないことです」と述べている。

男性ならワイン1日2杯までが理想

 ところでアルコール「1杯」とは一体どのくらいの量なのか。飲酒量を純アルコールに換算し、1単位を決めて分かりやすく表示する方法は多くの国で行われている。

 たとえばアメリカで「1ドリンク」といえば14gのアルコールで、これはビールなら350cc(小瓶1本)、ワインなら120〜150cc。オーストラリアやニュージーランドはアルコール換算で10g、デンマークは12g、英国は少し少なめで8gを採用している。

 ちなみに今回の研究結果は、米国心臓協会が推奨する飲酒量の基準とも合致する。米国心臓協会が推奨する飲酒量は、男性が1日2杯まで、女性は1日1杯までというもの。ワインに換算すれば男性で240mlというところだ。

 ここまで読んで、改めて自分の酒量の多さを反省した人もいるのではないだろうか。習慣的な飲酒は脳卒中以外に高血圧・心不全・不整脈などのリスク要因でもある。「完全に予備軍だ」と思われたなら、飲酒習慣を見直すきっかけにしてほしい。

 酒は適量であれば身体にも心にも"百薬の長"であることは間違いない。いつまでも好きなお酒を楽しむためにも酒量は控えめにし、十分な休肝日を設けることが大事だ。
(文=編集部)

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