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【インタビュー がん治療は第一選択がその後の人生を変える! 第3回 市民のためのがん治療の会代表 會田昭一郎さん】

誤診で舌を切られそうに! "第2の意見"が人生を変えた

ほかの可能性を探ることで人生が変わる? makaron*/PIXTA(ピクスタ)

 「市民のためのがん治療の会」代表である會田昭一郎さんは、自身が患った舌がんの治療体験を基にして、2004年に同会を設立した。患者一人ひとりの最適な治療の選択をサポートするため、セカンドオピニオンの斡旋相談や、がん治療に関する普及啓発活動、医療環境整備の政策提言などを行っている。

インターネットの普及とともにセカンドオピニオンも一般的に

 あなたは治療を受ける際、「本当にこの治療法でいいのだろうか」と不安に思ったことはないだろうか。主治医の説明に納得して信頼もしているが、重大な決断を迫られたとき、「ほかの先生の意見も聞いてみたい」と思うのは当然のことだ。

 現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めることを「セカンドオピニオン」と呼ぶ。日本では、セカンドオピニオンが一般的なものとして認知されていなかったため、「主治医に失礼になるのでは」と遠慮がちだった。だが、患者自身が納得のいく治療法を求めて、インターネットなどを使い、幅広く情報にアクセスするようになった。

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 厚生労働省の「平成23年受療行動調査の概況」によると、外来・入院ともにセカンドオピニオンを「受けたことがある」人の約8割が「受けてよかった」と評価。内閣府の「がん対策に関する世論調査」(平成21年9月)では、もしもがんと診断され治療を行う場合、セカンドオピニオンが「必要と思う」人は89.6%に上っている。

ほかの可能性を探ることで違う結果を引き寄せる

 舌がんを宣告されてから、インターネットで国内外の治療情報を集めて検討した會田さんは、「無知とは恐ろしいもの。そのなかで役立ったのは"国際標準治療は何か"でした。おかげで、放射線科で一次治療を受けて成功。化学療法を行わずに済み3週間後に職場復帰。特に障害も残りませんでした」と振り返る。

 「私の身近で舌がんの切除手術を受けた人は、現在ほとんど喋れません。その人のがんの進行状況では、切除以外に手立てがなったのかも知れません。しかし、ほかの可能性を探るためにセカンドオピニオンを求めていたら、違った結果が得られたかも知れない」

 実は會田さんは、治療の翌年に再発の宣告を受けている。

 「北海道がんセンターの西尾正道院長による放射線治療を受けた後、ファーストオピニオンを受けた近くの病院で治療や経過観察を続けていたところ、再発の宣告を受けました。『一度放射線治療を受けているから今度は使えません。手術です』と言われて愕然とした。どんどん手術の手続が進んだが、その時は冷静に相談できるがん専門医の主治医がいるという安心があった」

 「結局、西尾先生の紹介で東京のがん専門病院で再診察。生検を2回行ったが結果は白。それでもまだ安心できない。『先例がない』とプレパラートの貸し出しを渋る医師から、半ば強引にもぎ取り、がん専門病院の病理医に見てもらうとまたしても白。それまでの約1カ月間、再発の悪夢に悩まされた私の気持を、誤診した病院はどう考えているのか。黙っていたら舌を切られていたと思うと、ぞっとします」

 「日本では放射線治療はマイナーな存在ですが、欧米先進国はもとより東南アジアでも手術と並ぶ、がん治療の主役。治療選択の意志決定に、放射線治療の可能性を入れるのは決して無駄ではない。しかし、放射線治療は夢のがん治療だと、魔法のように過大評価してはいけない。病状に合わせて上手に使い分け、適切に活用することが今考えられるベストの治療法ではないでしょうか。どの治療法にもメリット・デメリットがあり、メリットが多ければ実施する。患者もそこを十分理解すべきだと思います」

 3月28日(土)、市民のためのがん治療の会は、モリシア津田沼・モリシアホール(JR総武線・津田沼駅徒歩2分)で講演会を開催する。「市民のためのがん治療とは何か」をテーマに、前・千葉がんセンター院長の竜崇正医師と北海道がんセンター名誉院長の西尾正道医師が講演を行う。詳しくはHPまで。


市民のためのがん治療の会 http://www.com-info.org/
一般社団法人 市民のためのがんペプチドワクチンの会 http://www.ccpvc.org/

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