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【抗がん剤治療の知識】

100種類以上の「がん治療薬」から何を選ぶ?「抗がん剤」はがんの種類によって効き方が違う

種類が増えてきたことで治療の幅が広がってきた抗がん剤

 がんに対する薬は、現在約100種類ある。それには経口薬(飲み薬)や注射薬があり、投与期間や作用の仕方もさまざまだ。抗がん剤は作用の仕方や由来などによって、「細胞障害性抗がん剤」と「分子標的治療薬」に分けられる。「細胞障害性抗がん剤」はさらに、代謝拮抗剤、アルキル化剤、抗がん性抗生物質、微小管阻害薬などに分類される。

●代謝拮抗剤

 がん細胞に多く含まれる酵素を利用して、増殖を抑え込もうとする薬。この薬はがん細胞が分裂するときに作用するため、個々の分裂するときをねらって長時間、持続的に投与する必要がある。代表的なものには、フルオロウラシ(5-FU)、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)がある。

●アルキル化剤

 遺伝情報の伝達など、生命の本質に重要な役割を果たしているDNAに作用する薬。がん細胞が増殖する際には、アルキル化剤が結合してがん細胞が死滅する。よく使われる薬には、シクロホスファミド(エンドキサン)がある。

●抗がん性抗生物質

 ある種の抗生物質と同じように、土壌に含まれる微生物から作られた薬。抗生物質の化学構造を変化させたりすることで、がん細胞を死滅させる効果を発揮するものもある。代表的なものは、ドキソルビシン(アドリアシン)だ。

●植物アルカロイド

 強い毒性のある植物成分を利用した抗がん剤。ビンクリスチンやドセタキセルなどの「微小管阻害剤」と、イリノテカンやエトポシドなどの「トポイソメラーゼ阻害剤」がある。しかし、それぞれ、がん細胞に対する働き方が違う。

 微小管阻害剤は、細胞の分裂に重要な微小管の働きを止めることで、がん細胞を死滅させる。微小管に対する作用の違いで、ビンカアルカロイドとタキサンの2種類に分類される。微小管は、神経細胞の働きにも重要な役目をもつため、微小管作用薬によって、手足のしびれなどの神経障害が出ることがある。トポイソメラーゼ阻害剤は、DNAを合成する酵素の働きを阻害して、がん細胞の分裂を阻害する。

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●プラチナ(白金)製剤

 現在、化学療法で重要な役割を果たしている薬の一つ。DNAと結合することで、がん細胞の分裂を阻む。広く使われているものに、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチンがある。

●分子標的治療薬

 がん細胞だけが持つ特徴を分子レベルでとらえ、それを標的にして攻撃する薬。従来の抗がん剤に比べて副作用などが少なく、白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫、肺がん、乳がん、大腸がん、肝細胞がん、消化管間質腫蕩、腎細胞がんなどで有効な治療薬になりつつある。イマチニブ(グリベック)、セツキシマブ(アービタックス)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ベバシズマブ(アバスチン)、リツキシマブ(リツキサン)などがある。

●がん細胞の発育を阻止する、ホルモン療法(内分泌療法)

 ある種のがんでは、がん細胞の成長にホルモンを必要とする。そのため、特定のホルモンを分泌している部分を手術で取り除いたり、経口や注射で反対の作用をするホルモンを投与して、がん細胞の発育を阻止する。この治療法をホルモン療法(内分泌療法)といい、がんの発育を阻止するのが特徴だ。治療の対象となる主ながんは乳がん、子宮体がん、前立腺がん、甲状腺がん、腎がんなど。長期間の治療になる。
(文=編集部)

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