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【シリーズ「DNA鑑定秘話」第64回】

12人を殺害した「ゴールデンステートキラー」逮捕!DNA共有サイト「GEDマッチ」が決め手に

DNA共有サイト「GEDマッチ」が犯人逮捕の決め手に(depositphotos.com)

 往古来今、犯罪の陰に見え隠れするのが女と警官。ただ、女にも警官にも神様のお目こぼしは、滅多にない。何食わぬ善良市民の真顔で安穏と余生を送ろうと目論んでいたのに発覚する。犯行現場に落とした自分のDNAにシッポを掴まれる。このシリアルキラー(大量殺人者)も、袋ネズミさながらに、逃げ場のないデッドロックに追い込まれた。

 このシリアルキラーこそ、1970~80年代にカリフォルニア州を恐怖に陥れた「ゴールデンステートキラー(黄金州の殺人鬼)」、ジョセフ・ジェイムズ・ディアンジェロだ。

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30年前に12人を殺害した「ゴールデンステートキラー」

 地元紙『オーバーン・ジャーナル』によると、ディアンジェロは1945年11月8日、ニューヨークのバースに生まれ、高校を卒業後、海軍に入隊し、ベトナム戦争に参戦。シエラ大学警察化学科を卒業し、オーバーン警察へ。33歳の時、勤務中にハンマーと犬駆除剤を万引きして免職され、有罪(6ヵ月の執行猶予と100ドルの罰金)に。45歳頃から食料品店の集配センターの整備士を務め、昨年、引退する。

 だが、すでに42年前の1976年、30歳の現職警察官は、血に飢えた毒牙を剥く殺人鬼だった。

 サクラメントで一人暮らしの女性、夫婦やカップルなど50人以上を連日連夜、急襲。現金、宝石、身分証明書、銃器を強奪し、逃走。返り血を浴びながら、精液に塗れた「イーストエリアの強姦魔」は、住民を震撼させ、全米を恐怖に陥れる。

 被害者らの証言から多数の似顔絵が描かれ、犯人像が浮かび上がる。警察やテレビ局に犯行声明を送りつけるなど、あからさまな挑発にもかかわらず、逮捕に至らない。サクラメント郡警察は焦る。
 
 1979~81年(34~36歳)頃は、カリフォルニア州南部のサンタ・バーバラ界隈に出没。6件の強姦や殺人に手を染めては、闇に消える。「オリジナルナイトストーカー」の怪奇な挙動に住民の恐怖心はピークに達する。残忍な殺人鬼は、血に飢えながら、闇夜に隠れて忍び寄る。

 1986年5月、レンジ郡アーバインで18歳のジャネール・リサ・クルスがレイプされ、無残に撲殺される。だが、40歳を迎えた殺人鬼は、火が消えたように鳴りを潜める。

 2001年、警察当局は、「イーストエリアの強姦魔」も「オリジナルナイトストーカーも別の犯人と推定する。だが、DNA鑑定やプロファイリングの結果、1976~86年にかけて起き、12~41歳の女性が被害者となった強姦・殺人事件の犯人は、同一犯と認定。

 前代未聞の凶悪事件は、絶望的な状況のまま、コールドケース(迷宮入り事件)かと思われた。しかし、急転直下の事態が出来する。

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