なぜ親たちは精神疾患の我が子を「監禁」し続けた?(depositphotos.com)
「座敷牢」――。精神医療の負の歴史として、過去のものとなったはずのその言葉を、まさか21世紀のいまになって想起されることになろうとは……。
2017年末と今年4月に相次いで発覚した2つの監禁事件は、忌まわしい記憶が、過去のものとなっていないことを思い知らされた。
[an error occurred while processing this directive]親が精神疾患のわが子を長年にわたり監禁
2017年12月23日に両親が自首したのは、大阪府寝屋川市で自宅内のプレハブに長年にわたって長女を監禁した事件だ――。
同年12月18日頃に死亡した長女(33歳)は、1997年、小学校6年生の頃に精神疾患を発症し、学校を休み始めた。同年から両親は自宅内の小部屋で長女を閉じ込め始め、02年頃には父親がプレハブを改修。監視カメラ、二重扉、簡易トイレなどを設置し、「監禁部屋」とした。
17年頃からは食事も1日1食しか与えられず、死因は極度の栄養不足で体温を保てなくなったことによる凍死だった。
長女は2001年に複数の病院にかかり、統合失調症と診断されたが、入院するなどの適切な医療は受けていなかった。一方、両親はその診断を元に、月額約8万円の障害者年金を受け取っていたという。
その事件の記憶がまだ覚めやらぬなか、4月には兵庫県三田市でも監禁事件が発覚した――。
42歳の長男が父親に閉じ込められていたのは、プレハブ内の木製の檻。南京錠がかかり、ペット用シートが敷かれていた中で、上半身に服を着ただけの姿で監禁されていた長男には、精神疾患があった。
檻での生活は、実に20年以上に及んでいたと見られる。父親は監禁容疑で逮捕され、長男は現在福祉施設で保護されている。