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俳優ロビン・ウィリアムズの自殺に後追いの連鎖~SNS時代の自殺報道のあり方

WHOは2000年に『自殺を予防する自殺報事例報道のあり方』という勧告を公表(depositphotos.com)

 2014年8月~12月の5カ月間に限り、米国内の自殺既遂者が、統計上の予測人数を1841人も著しく上回っていた。その背景には、縊死(首つり自殺)した名優の「後追いの影響」である可能性が高い――。

 その詳細が分析されたのが『PLOS ONE』(オンライン版2月7日付)に掲載された、米コロンビア大学公衆衛生学部のDavid Fink氏らの研究論文だ。

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 執筆陣曰く、「ロビン・ウィリアムズの自殺報道による影響で後追い自殺が多発した可能性がある」――。

 映画『グッドモーニング、ベトナム』『いまを生きる』『レナードの朝』などの出演で、世界中にファンを持つ俳優のロビン・ウィリアムスが、カリフォルニア州の自宅で自ら命を絶ったのは、2014年8月11日のことだった。

 彼にはうつ病の既往があり、死後には(特殊なタンパク質によって神経伝達が障害される)「レビー小体型認知症」と診断されていた事実も明らかにされた。

 しかし、そうした詳細な「報道の在り方自体」が「後追い自殺」の連鎖を促進させたのではないかと、この最新知見は示唆する。

首つり自殺の増加の原因は報道方法

 名優自殺の影響を探るためFink氏らは、米国疾病対策センター(CDC)の1999~2015年の自殺データをつぶさに解析した。

 その結果、ロビン・ウィリアムスが自殺した2014年8月11日から同年末の5カ月間に限っては、統計予測値(1万6849人)と大きくズレて、実際は1万8690人が自殺既遂しており、1841人も増加するという誤差が際立った。

 しかも、この5カ月間の自殺の死因が「窒息(縊死も含む)」と分類される事案の場合、実に32.3%も増加。それ以外に分類される死因(高所墜落、切創・刺創、薬物中毒など)が3%の増加である点と比べれば、セレブの「死因報道の影響力」が現実味を帯びてくる。

 「自殺は極めて個人的で複雑な問題を内包しており、一概には語れないさまざまな因子が影響しているのは言うまでもない」。そう前提した上でFink氏は解析結果をこう記した。

 「ウィリアムズのような著名人が自殺既遂した場合、その詳細(手段や状況等)を従来のメディアや今日的なソーシャルメディアがどのように伝えるか――その度合いが、受け手である人々の自殺リスクを左右する可能性は否めない」

 ちなみに、この5カ月間の増加層は、30~44歳の男性陣で構成されている点も明らかになった。ロビン・ウィリアムズ(享年63)と同世代層が動揺したというよりも、より若い世代層が「勝ち組セレブの選択死に未来を悲観した結果」と見るべきだろうか。

 ちなみに研究陣は、比較例として、あのグランジ系人気ロックバンドのカリスマ的存在だったカート・コバーン(1994年に銃自殺:享年27)の死後現象に関しても調査を行なった。しかし、自殺者の増加は、特に認められなかったという。

 この違いは何から生じるのだろう?

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