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【本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言! 第6回】

『アンナチュラル』現役医師が感じた心肺蘇生術&感電死への違和感

心肺蘇生は心臓マッサージが最優先(depositphotos.com)

 第6回の『アンナチュラル』。集団暴行、ビットコイン(仮想通貨)など、最近耳にした様な言葉が盛りだくさんの内容でしたね。ただ医学ネタに関しては開業医である私からみても、突っ込みどころ満載で、アンナチュラルな場面がありました(笑)

 まず、今の心肺蘇生術は30回の心臓マッサージに対し1回の人工呼吸が基本です。1回の人工呼吸で2回息を吹き込みます。

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 劇中でミコトは、まず人工呼吸から入ろうとしていましたが、実は優先すべきは心臓マッサージなのです。その心臓マッサージと人工呼吸のタイミングが、上記のように心臓マッサージ30回に対して、人工呼吸1回という事なのです。

脳に酸素を届けるためには心臓マッサージが最優先

 私が医師になりたての頃は、「1、2、3、4、5、フーッ!」といった感じで5回の心臓マッサージに1回の人工呼吸が基本でしたが、今はその数が全く違います。心肺蘇生法ガイドライン(日本蘇生協議会)は5年ごとに見直されますので、知識のアップデートも必ず必要という事です。

 私が医師になってから、何回見直されたという事でしょうか……?考えたくもありません……。

 もし、医療器具の無い場所でひとり蘇生術を行う場合、まず行う処置は心臓マッサージ、つまり胸骨圧迫です。その胸骨圧迫のリズムも「心肺蘇生法ガイドライン2015」では、「1分間に100回から120回のテンポ」、とされています。これ、かなり体力が必要です。

 また、AED(自動体外式除細動器)のパッドを胸に貼るときも、胸骨圧迫を中断する時間を最小限にする、と書かれており、中断時間は10秒を超えてはいけない、とされています。それだけ胸骨圧迫(心臓マッサージ)が大切だということです。

 呼吸が止まり心臓も止まったとき、身体には十分な酸素が運ばれません。心臓が止まったときにまず心臓マッサージを行う一番の理由は、脳に酸素を届けるためです。脳は3~5分放置されると障害が残るといわれていますから、体の中に残った少ない酸素でも、優先的に脳に届ける努力をするわけです。

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