過保護な親が子供も日本もダメにする!?(depositphotos.com)
「おまえみたいな過保護がいるから日本が駄目になる」――。
この夏ヒットした日本テレビ系ドラマ『過保護のカホコ』で登場したセリフだ。主人公は、両親に溺愛されて育った女子大生の根本加穂子(ねもと・かほこ)。第1話で同じ大学に通う画家志望の麦野初(むぎの・はじめ)がカホコに言い放ったのが、冒頭のセリフである。
[an error occurred while processing this directive]過保護かどうかに明確な基準はないが、ドラマで描かれていたのは「子育てで後悔したくない」という動機による、「親」の次のような行動だ。
▶︎子どもの課題に介入する
▶︎子どもに決定権を与えない
こうした親の行動が、少子化や労働人口の減少という、私たちが現在直面している問題とどのように関係し、日本を駄目にしているのだろうか?
最近の若者は成長が遅れている
少子化は日本だけで起こっているのではない。「先進諸国病」とも呼ばれ、欧米でも進んでいる。
先日、少子化に関係すると思われるアメリカの研究結果が、『Child Development』(9月19日オンライン版)に掲載された。「最近の若者は成長が遅れているのではないか」と、研究を行った米サンディエゴ州立大学心理学のジーン・トウェンギ教授らは指摘している。
この研究では、1976~2016年にアメリカの13~19歳の男女約830万人を対象に実施された調査のデータを分析。その結果は下記のとおりだ(括弧内は日本での学年)。
○アルバイト経験者:12年生(高校3年生)
1990年代:72~73%→2010年代:55%
○デート経験者:12年生(同前)
1990年代:81~84%
2010年代:63%
●セックス経験者:12年生(同前)
1990年代:64~68%
2010年代:62%
●セックス経験者:9年生(中学3年生)
1990年代:38%
2010年代:29%
◇飲酒経験者:12年生(高校3年生)
1990年代:81%
2010年代:67%
◇飲酒経験者:10年生(高校1年生)
1990年代:71~72%
2010年代:51%
20年前と比べ、働いたり恋愛をしたり酒を飲んだりという「大人の経験」をした若者が減少している――。こうした傾向は、性別や人種、社会経済的状況、居住地域などに関係なく認められた。
トウェンギ教授は「中高生の成長のスピードが遅くなっているのが良いことなのか、悪いことなのかは、受け止め方次第だ」としているが、「自立心を養う経験が全然ない状態で大学に進学し、就職することになる可能性がある」と指摘している。
注目すべきは、今回の研究報告を受け、米ニューヨーク大学ランゴン医療センター小児精神科のヤミリス・ディアス博士が出した「確かに最近の学生は学業成績は優秀だが、計画を立てたり、時間を管理したり、問題を解決したりするといった基本的なライフスキルに乏しい者が多い」というコメントだ。