イクメンにも「マタハラ」はらならぬ「パタハラ」が!(depositphotos.com)
今回は、最近、新たに注目を集める「パタハラ」について解説したい。しかしその前に、世にはびこる「ハラスメント」の現状を認識しておいたほうがいいだろう。まずは、以下の設問に答えていただきたい。
▶︎設問1:男性被害も珍しくない「セクハラ」、SNS上でも繰り広げられる「パワハラ」、産休後も続く「マタハラ」――。それ以外の「○○○・ハラスメント」を2つ書きなさい。
[an error occurred while processing this directive]芸能好きの人ならば例の年の差夫妻の離婚理由といわれた「モラル」の3文字を、蕎麦のアノ啜る音が苦手という向きは昨今話題の「ヌードル」のカタカナを書き入れるかもしれない。が、さらにもうひとつ「○○○」を埋めなさいと問われた途端、全体の回答率はかなり下がってしまうのではなかろうか?
4つ目がどうしても思い浮かばないという人は一旦あきらめて、次の問いに進んでみよう。
▶︎設問2:飲めないのに無理に飲まそうとするのが「アルハラ」ならば、嫌がるのに何とかマイクを握らせて歌わそうとしつこいのが「カラハラ」。では、俗に「KY」と略称され、空気を読まない言動で周囲の人間をイヤ~な思いにさせるのは「○○○・ハラスメント」は?
答えは「エア(ー)ハラ」。
こういう謎かけは酒席を盛り上げるのに格好かもしれないが、無回答で歯が立たない年長者がいたとしても、周囲が年寄扱いしたり妙に囃し立てれば、それは立派な「エイジ・ハラスメント」だ。
全面禁煙の店舗では「スモハラ」の心配こそ霧散したものの、その日の巡り合わせで強烈な香水派や口臭派と臨席になれば「スメル・ハラスメント」の憂き目にあう。
渡る世間は「ハラスメント」ばかり
さらに、仕切り下手なのに話題に困ると、血液型性格分析で座を盛り上げようとループしだすタイプは「ブラッドタイプ・ハラスメント」。ちなみに、日本、韓国、台湾など一部の国では「血液型性格分類」が存在するが、血液型と性格の関連性は科学的に否定されており、まったく根拠がない。
こうした無邪気な受け狙いならばまだしも、ハイテク業界内で専門用語(隠語)を交わして付いてこれない人間をハチブ扱いすれば、それは「テクノロジー・ハラスメント」と呼ばれる。
もっと人間関係が捻じれて、嫌がらせ手段に電子機器を持ち出し、盗撮はするわ、盗聴は仕掛けるわ、果ては害を与える電波照射など心身共に相手を追い詰めるような許しがたい行為は「エレハラ(エレクトロニック・ハラスメント)」と呼ばれて、似て非なる前掲の「テクハラ」とは区別されている。
21世紀の世の中になっても、なにかと性差で価値判断を行なう「ジェンダー・ハラスメント」は一向に減らない。未婚者とみれば世話を焼きたがる「マリッジ・ハラスメント」、別名「ゼクシャル・ハラスメント」なオバハン(いけない、いけない、オバハラか!? )も後を絶たない。
往診の度に患者の病がむしろ悪化するような無神経医師の「ドクター・ハラスメント」も意外とあれば、同じパワハラでも教育機関で権威ある教授陣が職員や学生に嫌がらせをすれば「アカデミック・ハラスメント」「スクール・ハラスメント」と称される。
耳なれない「オワハラ」の意味を調べてみれば、就活中の学生に対して「早期内定」の取引条件よろしく他社廻りを咎めたり、半ば強制的に他の内定辞退をほのめかしたり……。つまり「就活終ワレ(終ワラセナサイ)」と悪魔の囁きを呟くからオワハラなんだとか。
そんなこんなで採用した人材を、数年後には自主退職に追い込む「リスハラ」対象にでもしていたら、それこそ笑うに笑えない。