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ポケモンGOで「自己破産」!? チャリプレーヤーは自転車事故保険に加入すべし

ポケモンGOの公式HPより

 「ポケモンGO」を操りながら自動車を運転するなどで取り締まりを受けた数が71件、さらに人身事故が4件、物損事故が32件――。

 これが7月22日の配信開始以降、25日午前11時半までに全国で起きたポケモンGO絡みの事案件数だ(警察庁発表)。

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 日本発のゲームでありながら海外配信が先行し、アメリカなどからは熱中するあまりの国境越えや不法侵入による銃殺事件、崖からの転落事故や数多の衝突案件などの関連報道が伝えられてきた。

 日本でも、小中学校の終業式直後に配信を開始。最初の週末、全国の公園や神社仏閣、立ち入り禁止区域などが大騒ぎのにぎわいを見せたのは周知のとおり。

 日本昆虫協会理事にも名を連ねる辛口の漫画家やくみつる氏が「こんなことに打ち講じている人って、心の底から侮蔑します」と、バッサリ斬り捨てた気持ちもわからぬではないほどの狂騒ぶりだ。

利用規約もそっちのけの狂騒陣

 今回のポケモンGOに関する事件事故は、ゲーム通ならば想定外というよりは、むしろ起きても不思議がない事態だと、配信前から懸念していたことだろう。販売元の米国・ナイアンティック社の先手事項(=利用規約)にはちゃんとこう謳われている。

 (利用中に被る可能性のある損害に関して)「お客様が合理的に必要であると考える健康保険、損害賠償保険、災害保険、人身傷害保険、医療保険、生命保険、及びその他の保険契約を、お客様の責任において維持することに同意するものとします」

 たかがお子様向け(といっても、ハマっているのは主に20代以降の大人だが)の無料アプリに、何もここまで大袈裟な同意を求めなくても……。そう反応された方こそ、利用規約なんか一瞥もくれなかったのではなかろうか。

 しかも、自分に限ってそんな事故や事件に見舞われる可能性はないはず、という根拠なき確信の持ち主なのではなかろうか。

 ところが、酷暑が予測される2016年のこの夏、利用者の不注意から〝ポケモンGOで自己破産〟という笑うに笑えない事態が起きるかもしれない。配信後4日足らずで人身事故が4件という冒頭の現実数字を見れば、その確率は万が一どころか、明日発生しても驚きに値しないだろう。

 自賠責加入が義務付けられている自動車やバイクの運転者が、仮にポケモンGO絡みの人身事故を起こしても、未加入でなければ「自己破産」は稀であろう。しかし同じ「車両」扱いでも〝ポケモンGO破産の可能性〟が大いに懸念されるのが、「自転車」でポケモンGOに興じる人々である。

ながら自転車族の最強傲慢アプリか!?

 巷で見かけるスマホ自転車陣の中には、イヤホンで両耳を塞ぎ(東京都など自治体によっては条例違反)、一時停止&信号無視(こちらは完全に改正道路交通法違反)、自転車用のスマホ・ホルダーを設置している人はまだしも、片手に持ったまま運転している人などは、よくぞここまで〝オレ様走り〟ができるものと半ば感服してしまうほどの傍若無人ぶりである。

 日本の自転車利用人口は、2000年を境に一気に増加し2008年にピークを迎えている。その年の秋、神戸在住の男子児童(当時11歳)が、マウンテンバイクで走行中に60代女性と正面衝突するという事故が発生した。

 被害女性は寝たきり生活を余儀なくされ、神戸地裁は児童の母親の監督不行き届きを理由に、加害者に損害賠償金9520万円の支払いを命じた。ところが、母子は賠償を補填すべき保険に未加入だったために判決の翌年に自己破産となり、被害者側も泣き寝入りを強いられた。

 警視庁の統計によれば、自転車による対歩行者の交通事故件数は10年前比で5倍近いとか。さまざまな規制が設けられたのにもかかわらず、走行時のマナー違反、条例違反、道路交通法違反が増えている中で、この夏休みはポケモンGOという〝モンスター〟が新たな危険因子として参上した。

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