トレンディエンジェル斎藤司さん(右)とたかしさん~吉本興業HPより
漫才日本一を決めるM-1で、「トレンディエンジェル」が優勝した。トレンディエンジェルは、斎藤司さんと、たかしさんの2人のコンビ。
斎藤司さんは、頭頂部に残ったすくない頭髪をボサボサに放置しており、あわせてノーネクタイの背広姿で、なげやりな会社員というスタイルでしゃべる。対して、たかしさんはすくない頭髪を伸ばして、これにオイルを塗って光らさせている。頭部を左右に揺さぶることで、頭頂部に残った長い、しかし、少ない頭髪がふわりと動くことで、トークのリズムと、頭髪の動きをつなげて、広いおでこを露出させる。こうすることで、笑顔と表情が観客にしっかりと届くという演出をしている。
どちらも、ハゲであるという個性を武器に、ハゲネタを使っての漫才をすることは、ライバルの中で勝ち残るために必要な戦略だったのだろう。
ところでハゲとは何なのだろうか。病気なのだろうか? 自然現象なのか? 医学的には「脱毛症」と呼ばれる。さまざまな原因で脱毛症になるが、一般的に、男性の加齢に伴う脱毛症は病気とみなされていないが、そのメカニズムは解明されている。
男性ホルモンの「テストステロン」から生成されたDHT(ジヒドロ・テストステロン)という物質が原因である。このDHTが毛根細胞に作用すると、正常な発毛サイクルが変化する。正常な毛根細胞であれば数年間発毛するのだが、DHTが作用した毛根は、数か月から1年で発毛活動をやめてしまう。こうした脱毛症は一般的に男性型脱毛症(AGA)と呼ばれる。
AGAに有効なのはミノキシジルとフィナステリドだけ
基本的に男性型脱毛症(AGA)の根治療法はない。対処療法としては、発毛剤などの塗布がある。効果の疑わしいものが多い中で、医学的なエビデンスのある治療剤は2つ。ミノキシジルとフィナステリドだ。この二つが男性型脱毛症(AGA)の代表的な治療薬として日本皮膚科学会の「男性型脱毛症診療ガイドライン」の報告書の中で「発毛効果が最も高い」と報告された成分だ。
ちなみに男性型脱毛症(AGA)の女性版は女性男性型脱毛症(FAGA)と呼ばれ、頭髪が全体的に毛量が少なくなり、特に頭頂部が薄くなりやすく地肌が透けて見えるようになる。これにはホルモンバランスの乱れ、血行不良など様々な要因がある。
また、男女問わず起きるものとして円形脱毛症がある。突発的に十円玉ほどの大きさで脱毛するのが特徴で、自己免疫性疾患が原因と考えられている。
商品名リアップで知られ育毛剤の主成分がミノキシジルであり、頭皮に塗布して使用する。第二はフィナステリドは医師が処方し、1日1回の内服による。男性ホルモンの作用を抑制するもので。頭髪だけに限定して作用するわけではない。ため、副作用として全身が毛深くなることがある。
ほかには、毛髪を頭皮に移植する「植毛」という方法もある。これは美容外科に属する。一般的な医療行為としてはみなされてはいない。植毛の課題は、一定の時間がたつと、植毛した毛髪が摩滅して、抜け落ちてしまうか、切れてしまうことである。