マナー面のハードルは高い「貧乏ゆすり」artfoliophoto/PIXTA(ピクスタ)
職場の同僚が隣のデスクで落ち着きがなく、何度も足を組み替えたり、ペンをコツコツ鳴らされると非常に気になるもの。ましてや激しく貧乏ゆすりを繰り返されたら、忙しいときなどには、イライラが頂点に達してしまうだろう。
しかし、その嫌われものの貧乏ゆすり、「女性が病気で死亡するリスクを下げる可能性がある」という研究が発表されて、俄然注目されている。英国のロンドン大学とリーズ大学の研究グループが、『American Journal of Preventive Medicine』(2015年9月23日号)で報告した。
[an error occurred while processing this directive]貧乏ゆすりで死亡率が37%も低下
近年、デスクワークなどで長時間座ることの健康への悪影響が、医学的に証明されてきている。1日のうちで座っている時間が長いと、細胞の寿命や老化に影響を及ぼすテロメアの劣化が進むため、DNAレベルで寿命を短くするという。しかも、これはエクササイズの量や時間と関係なく影響があるというから厄介だ。
当サイトでも
「長時間のデスクワークは危険? 女性の"座り過ぎ"と乳がんリスクの関連性が明らかに」
「2時間以上で5時間未満!? 健康によくないのはデスクワーク、それとも立ち仕事?」
「座りっぱなしのデスクワーカーに朗報! 1時間毎に2分歩けば"長生き率"が33%UP!」
などで紹介してきた。
今回の研究は、この「長時間座ること」への問題について検討することから始まった。英国の女性約1万3000人(37~78歳)を対象に1日に平均何時間座っているか、貧乏ゆすりの有無、身体的な活動、食事、喫煙、アルコールの飲用などについて調査。さらに平均12年間の死亡率の追跡調査を行った。
すると予想通り、1日のうち7時間以上にわたって座る時間があり、かつほとんど貧乏ゆすりをしない女性は、1日5時間未満の女性に比べて早期死亡リスクが30%上がった。
しかし一方で、貧乏ゆすりの多い女性は1日5~6時間座っていても、座る時間が1日5時間未満の女性よりも、なぜか死亡率が37%下がるという結果になった。また、貧乏ゆすりを多くする人は、BMIに加え、グルコースやインシュリン反応など、健康に関連する指数がよいこともわかった。
研究者は「これまでは座る時間が長い人の場合、立ち上がって休憩することで、健康へのリスクを低減できることがわかっている」と述べ、「だが、貧乏ゆすりをするだけで、健康に有益だと示した研究はこれが初めてだろう」とニュースリリースでコメントしている。