アメリカでは過去25年間で冤罪が晴れた死刑囚は143人(shutterstock.com)
このシリーズでは、有罪判決を受けながらも再審無罪を勝ち取った足利事件、再審請求前に死刑が執行された飯塚事件、再審の即時抗告審が継争中の袴田事件を紹介しながら、冤罪事件の問題点を洗い出し、事件捜査に果たすDNA鑑定の重要性を強調してきた。
日本において、有罪判決後に再審無罪になる冤罪事件はまだ稀だ。しかしアメリカでは、無実の人が有罪判決後のDNA鑑定によって無罪が確定する冤罪事件は実に多い。
[an error occurred while processing this directive]DNA鑑定が冤罪を晴らした刑事事件は20%!
2014年2月4日、米国冤罪事件データベースの研究プロジェクトが発表した報告データによると、2013年の1年間に誤審による有罪判決が覆り、再審無罪になった刑事事件は87件。過去25年間では約1300件にも上る。冤罪が晴れた死刑囚は143人にもなる。
研究プロジェクトのサミュエル・グロス氏は、「誤審の全体から見れば、氷山の一角にすぎない。検察庁や裁判所の主導や協力によって無罪を確定した事件は38%、DNA鑑定が冤罪を晴らした事件は20%もある」と語る。
2013年に冤罪が晴れた87件の事件のうち17%に当たる15件は、被告人が有罪答弁しているにもかかわらず無罪になった。それはなぜなのか? 「無実でも、裁判になれば、有罪答弁よりも重い刑を科される可能性があることを恐れて有罪答弁する被告人がある。死刑になる可能性がある重犯罪ならなおさら、死刑を避けるために有罪答弁してしまう」とグロス氏は説明する。
また、報告によれば、冤罪を招いた要因は、目撃者による嘘や偽証が56%、捜査当局などによる証拠の捏造や隠蔽が46%(DNA鑑定の作為的な不正や鑑定の低精度、鑑定技術の未熟なども含む)、面通し時の目撃者による誤認が38%となっている。