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「赤い服」は攻撃的に見られる?  オバマ大統領が「パワー・タイ」を好む理由

happystock/PIXTA(ピクスタ)

 赤い服を着ている男性は、怒っていて攻撃的――。そう見られるかもしれない可能性があることが、『Biology Letters』(5月12日号)に掲載された。英ダーラム大学人類学部博士課程のDiana Wiedemann氏らが、研究で示唆した。

 この研究では、男性50人と女性50人を対象として、さまざまな色のTシャツを着ている男性の写真を見せた。その結果、赤を着ている男性は、青またはグレーを着ている男性よりも攻撃的で怒っていると評価される傾向があった。

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 また、男性の回答者は、赤を着ている男性を「支配的」とみなす傾向もあった。だが、女性の回答者はそうではなかった。

 Wiedemann氏は、「赤という色がヒトの脳に影響を及ぼすことはわかっている。たとえば、ビジネスの場面においては"勝負ネクタイ"として赤いネクタイをつけるなど、我々の文化に根付いている」とコメント。

 さらに「今回の小規模研究の結果から、特定の状況での服の選択を再考することになるかもしれない。"攻撃的""支配的"と受け取られるのは、状況によっては有利だが、チームワークや信頼が重要な場面では不利になることもある」と述べている。

 同大学の以前の研究では、スポーツで赤を着ると、攻撃性と競争心が高まることが示されている。「赤」に対するこの反応は、怒りの自然な徴候として顔が赤くなることに関連している可能性があると、Wiedemann氏らは示唆している。

オバマ統領も大一番の舞台では"赤いネクタイ"

 赤色は本来、膨張や進出、温暖、興奮などのイメージ効果を持つ。「赤」からは太陽や火の熱く活発なイメージが浮かぶ、「エネルギー」や「情熱」を感じさせるアクティブな色だ。

 「赤」は心理的に暖かく感じるだけでなく、実際に脳の興奮レベルを上げる効果があるとされている。「赤」は昔から「ハレの色」とされ、結婚式をはじめとする祝い事の席などで多く用いられているのもそのためだ。
 
 ある高齢者施設で行った実験で、活気のないお年寄りが多いフロアに「赤」を配したところ、「レクリエーションに積極的に参加する人が増えた」「会話が弾むようになった」という報告がある。意欲を向上させ、前向きな気持ちにさせる演出に適した色だ。

 人が生きるために必要なものと多く結びついている「赤」は、ほかのどの色よりも強い刺激がある。五感のなかでも、視覚と関係が深いのは赤色。「紅一点」という言葉があるように、視界に飛び込んでくる「赤」は目を引き、訴求力が強い。

 米国のバラク・オバマ大統領は、普段は「青」だが、ここぞという"勝負"の時には赤いネクタイを身に着けることが多い。2009年1月20日に行われた就任演説は、赤いネクタイを着けて臨んだ。「パワー・タイ」とも呼ばれる、代表的な勝負ネクタイだ。

 ただし、少し派手なのと「パワー・タイ」という言葉が一般的になったため、「いかにも」と捉えられることがある。そこで、取り入れやすいエンジ色や、渋めの赤、もしくはストライプに赤がポイント的に入るものを選んでみてはどうだろう。

浮かない気分の時、心と体に刺激を与えて活力を高めてくれる

 日本では、還暦を迎えると「赤いちゃんちゃんこ」を着る風習がある。単に「赤」が「赤子に返る」という意味だけでなく、生命力を与えて心身を活性化させてくれると、昔から考えられているためだといわれている。

 また、古来より「赤」は「魔除け」や「疫病退散」の色とされた。「天然痘(疱瘡)」が流行した際も、人々は赤い布や紙に「疱瘡退散」と書いて無事を祈り、病気にかかってしまった人には赤く染めた肌着を着せる習慣があった。

 「赤」は健康長寿にも関わりのある色。浮かない気分の時には、心と体に刺激を与えて活力を高めてくれる「赤」を見たり、身につけてみることをお勧めしたい。
(文=編集部)

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