笑顔になって自分の鏡を見てみよう
新年度がいよいよ始まった。職場でのプロフィール紹介や、各種イベントなどで写真を撮ることも多い時期だ。写真の中の自分を見て、「老けたな~」とか「太ったな~」など、ネガティブな感想を持ってしまうことも少なくないが、写真を撮る際は、無意識に笑顔になろうとするもの。
その中に、「笑顔が本物だな」と思える表情の人がいたら、ぜひ注目してほしい。なぜなら、この笑顔は、その人の「幸せ」を予知するものだというからだ。
[an error occurred while processing this directive]「本物の笑顔」と言われている表情は、フランスの精神内科医デュシェンヌが発見したことにちなんで「デュシェンヌ・スマイル」と呼ばれている。口角が上がっていて、目の端にカラスの足跡のようなシワができる表情だ。やってみるとわかるのだが、実は作ろうと思ってもなかなかできない。自分ではコントロールすることが難しい表情筋を使ってできる表情だからだ。
この「本物の笑顔」が生活の満足度とどのような関係があるかを調べた調査が、2001年に「Personality and social psychology」誌で発表されている。米カリフォルニア大学バークレー校の心理学者リー・アン・ハーカーとダーカー・ケルトナーによって行われた長期研究である。
ミルズ・カレッジというカリフォルニア州オークランドの私立女子大学の1958年と1960年の卒業アルバムの写真を使用したもので、幸せが純粋に顔全体に表われる表情のレベルを、目の周りの筋肉が収縮する度合いで「デュシェンヌ・スマイル度」として写真を分析した。そして、30年後にどのような人生を送っているのかを結びつけた。
その結果、「デュシェンヌ・スマイル度」が高い女性は、平均27歳で結婚をし、52歳の時点での結婚生活は順調で、その満足度も高くなっていたというのだ。また、心身ともに健康である傾向も強かった。
教授たちは、「年をとるにつれて、デュシェンヌ・スマイル度が高かった女性は、そうではない女性と比較すると、有能で、心理的にも安定しており、かつ、成功するために努力をしている。嫌なことがあっても立ち直るのが早い」とコメントしている。
なお、この研究では、身体的な特徴や美しさ・魅力を調整しており、純粋に写真での表情で、その後の人生の「幸福感・満足感」を予測できるという結果を導いている。