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厚労省が本気で考える"マイルドヤンキー"での介護人材不足対策は成功するのか?

マイルドな?ヤンキー?

 2000年の介護保険制度が創設された当時、約55万人だった介護職員は、2013年には約171万人に増加している。しかし、団塊の世代が全て75歳以上となり、要介護の高齢者の増加する2025年には約248万人の介護職員が必要と推計されている。(厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」)。このまま現状の施策を継続した場合、2025年には約30万人の介護職員が不足する見通しだとしている。

 だからといって、この介護人材不足を救う最後の救世主が本当に"マイルドヤンキー"なのだろうか?
 
 昨年10月に開催された第71回全国老人福祉施設協会(仙台市)の第3分科会の席上、厚生労働省社会・援護局の福祉人材確保対策室長(当時)の竹内和久氏は、次のような発言をした。
「現実的に人口が減り地域に若い人材が少なくなる中でどうやって介護人材を確保するのか、地域のどういう人たちをターゲットにするのか、対応としてどうすればいいかと思われるかもしれない。一つのアイディアとして私たちは今や地域経済を支える"マイルドヤンキー"と呼ばれる若い人たちに注目、この層の人たちが介護人材として適しているのではないかというプロジェクトを進めているので、近い将来に報告したい。」

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マイルドヤンキー待望論のきっかけとなった記事

 こうした志向のきっかけともなった一本の記事がある。『「ヤンキー系」が介護を救う』(2009/10/01付朝日新聞朝刊)だ。双寿会のゼネラル・マネージャーという肩書きを持つ塚原立志氏が寄稿した記事だ。

 名古屋近郊の地方都市で、筆者は介護老人保健施設の運営に関わるようになる。95年当時、新設されたての資格「介護福祉士」への期待で介護職の募集に対して多くの人材が殺到。しかし介護保険制度の導入から5年が経ち、介護は「重労働」「低賃金」「将来性なし」という「負け組」の仕事として、世間的には負のイメージで見られるようになり、人材確保が思うようにいかない事態となった。そんな苦境にあえぐ現場を、支えてくれているのが、50代以上の女性と、「ヤンキー系」と呼ばれている男女たちだというのだ。

 このマイルドヤンキーの定義は微妙に変化しているが、原田曜平氏(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)は、「エグザイルが好き」「地元(家から半径5km)から出たくない」、「絆、家族、仲間という言葉が好き」「車(特にミニバン)が好き」「ショッピングモールが好き」と分析する。

さらに、不動産投資家の芝山元氏は、「内向的で、上昇指向が低い(非常に保守的)」「低学歴で低収入」「ITへの関心やスキルが低い」「小中学時代からの友人たちと"永遠に続く日常"を夢見る」「できちゃった結婚比率も高く、子供にキラキラネームをつける傾向」「喫煙率や飲酒率が高い」と踏み込む。

 塚原氏は記事の中で「厚労省は介護職員の処遇改善計画の中に、賃金の上乗せとともに、『キャリア・パス』といって、教育や研修などの人材育成環境を充実させ、将来において介護職員が能力や地位を向上させていけるようなライフコースの整備を施設や事業所に求めようとしている。
 しかし、これは一部のエリートたちが自分たちの価値観にもとづいて『上から目線』で考え、押しつける『介護職のあるべき将来設計』でしかない気がする。介護で働く人たちの大多数は専門職としてのスキルアップよりも、無理しない程度にジモトでまったりと暮らしていければいいと感じていると思うからだ」

 霞ヶ関の住人はここに飛びついた。

 つまり、「さほど向上心もなく文句もいうわけでもなく、地元で仲間や親類との絆を大切にしながらまったりと細々と暮らすことを肯定する人材が大量にいるではないか!」と。

介護事業でマイルドヤンキーへ「のれん分け」を

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