「オンラインゲーム依存」は国内で約421万人(depositphotos.com)
スティーブン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』が公開されヒット中だ。同作は、現実世界に喜びを見出せなくなり、VR(バーチャル・リアリティ)の世界である「オアシス」の中で人生を謳歌する人々が描かれる。
現実世界の生活費をオアシス内のアイテムを購入するためにつぎ込む「重課金プレイヤー」も登場するなど、今日のネトゲ依存者を彷彿とさせる描写も満載だ。
[an error occurred while processing this directive]さて、『レディ・プレイヤー1』のVRは現実と見まごうばかりの超リアル空間だが、いま多くの人が夢中になり、生活の破綻を呼び込んでいるのが、手のひら上の小さな画面に映し出されるスマホゲームの世界である。
そして、全国にさきがけてスマホゲーム依存症の治療に取り組んでいるのが、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長だ。樋口院長にスマホゲーム依存の実態と、その治療法について聞いた。
「オンラインゲーム依存」は国内で約421万人
「我々がネット依存の外来を始めたのは2011年。その頃はまだスマホは出始めで、ゲーム機やパソコンで『MMORPG(大規模多人数参加型オンラインRPG)』や『FPS(ファースト・パーソン・シューティング:一人称視点のシューティングゲーム)』にはまっている方が多かった。その機種がスマホへと移行しているのが最近の特徴です」
今日に至るまでの経緯を、上記のように説明する樋口院長。さらに続けて――
「私たちは『インターネット依存』の看板を掲げていますが、お見えになる方の9割は『ゲーム依存』、そして、そのほとんど全員が『オンラインゲーム依存』です。オフラインゲームに依存しているという人は、いまはほとんどいないですね」
樋口院長の著書『スマホゲーム依存症』(内外出版社)にも記されている、2013年に久里浜医療センターが実施した、日本の成人に対する実態調査によると、ネット依存の傾向のある者は男性は4.5%、女性は3.6%。その数は約421万人と推計されるという。
強くなっても、現実世界で何かが残るわけではないオンラインゲーム。なぜ、そこまでハマってしまうのだろうか?
「ネットの世界だから、プレイしていても相手がいるわけで、チームを組めばそこで自分の役割も生まれる。その中で勝ち進んでいったり、自分の実力を認められると、現実とは別次元の楽しさがそこに生まれるんでしょうね」