米国で約25%が「2年以内に医師を辞めるつもり」と回答(depositphotos.com)
5人に1人が「(1年以内に)勤務時間を短縮したい」と考え、50人に1人の割合で「(2年以内に)違う職種に転向する予定」との回答を寄せた――。
そう聞いてあなたは、どの国のどんな職種の人々の本音だと連想するだろうか?
[an error occurred while processing this directive]じつはこれ、米国医師会(AMA)などの研究班が行なった調査から浮き彫りにされた、米国・現役医師らの意向実態である。
『Mayo Clinic Proceedings』11月号に掲載された報告論文によれば、AMAとメイヨークリニックおよびスタンフォード大学の研究陣が共同実施した同調査(期間:2014年8~10月)の対象は、全米のあらゆる専門領域を担う医師たち――。
その数、3万5922人が選ばれ、そのうち有効な回答が得られた6880人(平均年齢56歳)の声々が集計された。
結果、調査時点で診察に携わっていた6695人中の約2割(19.8%)が現在の診療時間を<今後1年以内に「必ず」ないしは「おそらく」短縮するつもり>との回答を選択していた。
また、現在の職場を「向こう2年以内に辞めるつもり」だと考えている医師の割合も26.6%に上り、同じく2年以内で「職種自体を転向する予定」と答えた脱・医師が全体の1.9%いた。
燃え尽き・不調和・電子化……
このように全米の現役医師らが、診療時間の短縮や誇りある職業からの転向を志向する背景は何か? 報告によれば、集計結果から読み取れた実態として次の3大要素が大きく影響していたそうだ。
①燃え尽き症候群(burnout:オッズ比1.81)、②仕事と生活の調和(work-life balane:同1.65)が保たれないことへの不満、③電子カルテ(Electronic Medical Records:同1.65)の普及に伴う作業への不満。
こうした結果が物語る事態の深刻さは、研究班の次のような見解からも伝わってくる。
「<医師以外の職種に転向する予定>と回答した中から、実際に3割がプラン通りに離職した場合、私たち米国民は約4800人の現役医師を失う計算となる……」
「一方、こうした医師たちの転職に伴ない新たな人材を雇用することは、施設側のコスト増につながるばかりでなく、患者や他のスタッフなどにも混乱をもたらす可能性が大いにある」