1980年代後期にNY発で流行したカウチポテト(couch potato)族という言葉を聞かなくなって久しい。
ソファー上のジャガイモよろしく、座ったり寝ころんだままゴロゴロとTVやビデオ鑑賞をしながら過ごす種族の意だった。それが日本では「ポテトチップを食べながら」的な意味も付加されて、レンタルビデオ時代の象徴用語としても記憶されている。
[an error occurred while processing this directive]その後、パソコンが普及し、スマートフォンやタブレット端末などのスクリーンデバイスが定着した。カウチどころか歩きながら、家事をしながら、あるいは便座に腰かけてでも<画面にくぎ付け>という習慣が日常という人も少なくない。
だが、そんな習慣は、次の知見を参照にしてあらためたほうが賢明かもしれない。
ドリンクとスナック菓子とデバイスと
スクリーンデバイスを1日5時間以上使う10代の若者は、それらを使わない同世代の若者に比べて、肥満になるリスクが43%も増加していた――。
理由は、画面にくぎ付けされている最中、総じて加糖飲料を好んで飲み、ほとんどが運動しない状態で過ごす確率が高いためだという。
今回の研究を主導したのは、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院(ボストン)のErica Kenney氏。従来の調査によれば、米国内で生活する10代の場合、その5人に1人がパソコン操作やビデオゲームでの遊戯、スマホ閲覧やタブレット利用などに「1日5時間以上」を費やしている現状が浮き彫りにされてきた。
その一方で、かつてはリビングの定番だったテレビ鑑賞となると同じ10代層で全体の8%に過ぎない傾向も判明し、完全に「主役の座」がスクリーンデバイス系に奪われていた。もちろん、そうした傾向は米国だけに留まらないだろうが。
むしろ一向に変わらないのでは……と予測されたのが、そんな浪費時間に若者たちが好んで口にするドリンク類やファストフード、定番のスナック菓子の消費量である。
過去の各種調査結果でも、テレビ視聴時間が長いほど、それらの消費量は増え、総じて肥満リスクにつながる事実が示されてきた。
そこでKenney氏らが注目したのが、「主役」がテレビ鑑賞からスクリーンデバイス類に移り変わっても、その肥満リスク増加は変わらないのかどうかという実態研究である。