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【シリーズ「LGBTとは何か?――セクシュアリティを考える」第3回】

渋谷区「同性パートナーシップ条例」の証明書が11月5日から配布開始!

同性パートナーシップ条例成立の立役者で、今年4月に渋谷区長に就任した長谷川健氏(画像は公式HPより

 セクシュアル・ダイバーシティ(性の多様性)の尊重やLGBTの権利保護や支援の大きな動きは、今や世界のメインストリームになっている。

 多様化しているのは、人間が人間らしく生きるための選択肢であり、LGBTの人権保護に適応する国や自治体、企業、個人の受容力だ。国家レベの顕著なトレンドとしては、米国連邦最高裁の同性婚合法化の動きがあるが、まず渋谷区の同性パートナーシップ条例を話そう。

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渋谷区の同性パートナーシップ条例が11月5日からスタート

 2015年3月31日、東京都渋谷区が台風の目になった。

 同性カップルに結婚に相当する関係を認める同姓パートナーシップ証明書の発行を盛り込む、全国初の同性パートナーシップ条例が渋谷区議会本会議で賛成多数で可決・成立した。同性パートナーシップ証明書は11月5日から発行される。

 32人(欠員2人)で構成される渋谷区議会の採決では、議長を除き自民7人と無所属3人が反対、公明、共産など21人が賛成。桑原敏武区長は、記者会見で「国政に対しても人権上の課題としても一石を投じ、歴史的な1ページを開いた。人知れず社会で苦しんでいる方々に手を差し伸べ、自分の生き方を発言できる環境をつくる第 一歩になる」と条例の意義を強調する。

 日本国憲法第24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定める。

 日本は、同性婚を公認していないことから、同性パートナーは、法的な家族でなく、同性の友人として認識され、生活面や仕事面で様々な人権の侵害や不利益を受けてきた。

同性パートナーシップ条例で何が変わる?

 同性パートナーシップ条例は、同姓パートナーへの偏見や差別の解消を訴えつつ、同姓パートナーが個人として尊重され、多様な生き方を選択できるように求めている。渋谷区在住の20歳以上の同性パートナーを対象に、夫婦と同等の関係と認める同性パートナーシップ証明書が発行される。

 証明書を取得すれば、事実上の夫婦として区営住宅への申し込みや民間の賃貸住宅への入居のほか、会社での扶養手当の支給なども可能になる。法的拘束力はないが、条例は「区民および事業者はパートナーシップ証明書に最大限配慮しなければならない」と明記。区内の事業者に「公平かつ適切な対応」を要請し、条例違反の場合は、是正勧告を行い、事業者名などを公表する。

 4月26日に行われた渋谷区長選挙では、同性パートナーシップ条例成立の立役者で、LGBT支援を公約に掲げた長谷川健氏が自公推薦候補などを押さえて当選。渋谷区民は、社会的な不利益を被っているLGBTの状況を変えるワンステップになる証明書の発行に「YES!」の民意を示した。

結婚とは?夫婦とは?家族とは?

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