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【連載「グローバリズムと日本の医療」第9回 】

医療費は軍事費よりも高い! 権利を主張しあう社会から自立した市民社会へ

平成27年度の一般会計歳出のうち32.7%(31兆5297億円)が社会保障関係費 (shutterstock.com)

 アメリカ連邦政府の歳出で最も多いものは何か? 世界一の軍事大国なので軍事費か? 2015年度のアメリカ歳出のを見ると、軍事費は22%(8513億ドル)を占めているが、これは第3位。歳出ランキング2位は25%(1兆2523億ドル)を占める年金、そしてランキング1位は27%(1兆3381億ドル)の医療費だ。

 これは政府が支出している金額だが、そのほかに企業や個人が支払っている医療費全体の額は2013年度で2兆9000億ドルを越えており、国内総生産(GDP)の17.4%を占める。2022年度には、医療費が5兆ドル(GDPの19.9%)を越えると予測されている。

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 一方、日本政府の一般会計歳出で最も多いのは何か? 国会では集団的自衛権の問題で激論を交わしたが、平成27年度の一般会計歳出の総額96兆3420億円のうち防衛費はわずか5.2%(4兆9801億円)しかない。断トツの1位は32.7%(31兆5297億円)の社会保障関係費だ。平成26年度は当初予算より1兆30億円(+3.3%)の増額であり、2年連続で30兆円を超え、過去最大となった。

 社会保障関係費の内訳は、アメリカと異なり、1位の35.2%(11兆1116億円、前年度比+3.1%)を占めるのが年金だ。それに続く29.7%(9兆3680億円、前年度比+2.3%)を医療費が占める。2013年度、日本国民が支払った医療費全体の合計は39兆3000億円で、介護費用を含む保健医療費はGDPの10%を超え、経済協力開発機構(OECD)諸国の平均8.9%を大きく上回っている。

 日米両国とも、年金・医療という二大社会保障分野が最も大きな歳出項目になっていることが確認できる。しかも、社会保障費は人口の高齢化によって自然に増えるものだと考えられている。

日米両国の医療費高騰の原因

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