医師自身はどんな薬を飲むのか?shutterstock.com
医師は、何を考え、悩みながら、患者に向かっているのだろう?患者や家族は、医師に何を期待しているのだろう?今回は、よく飲んでいるクスリついて答えた医師たちの生々しいヴォイスを聞いてみよう。
日経メディカルOnline(2014年6月9日)は、医師2286人を対象に「よく飲んでいるクスリは何か?」をアンケート調査した。半数の医師が「常用薬あり」と回答。2~3種類の薬を服用している医師が多かったが、最も多かった組み合わせは、降圧薬と脂質異常症治療薬で、146人が2種類を含むクスリを常用していた。
[an error occurred while processing this directive]降圧薬としては、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、β遮断薬など。脂質異常症治療薬としては、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチンなどが挙がった。
次に、自分が使って気に入っているクスリや、クスリについてのこだわりについて、自由記述で尋ねた。商品名で最も多く登場したのは、ロキソニンだった。なぜ人気があるのだろう?
ロキソニン人気の理由は?
ロキソニン(ロキソプロフェン)は、痛みや熱の原因物質を抑え、鎮痛・解熱・消炎作用を発揮するプロピオン酸系の消炎・鎮痛剤。第一三共が先発品を出し、各社のジェネリック医薬品がある。ロキソニンは、成分が体内で吸収されてから活性型に変化し、効果を発揮するため、眠くならず、胃への負担が少ない。頭痛、月経痛生理痛、歯痛や抜歯後の疼痛をはじめ、咽喉痛、腰痛、関節痛、神経痛、筋肉痛、肩こり痛、耳痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、外傷痛の鎮痛のほか、悪寒・発熱時の解熱にも効果があるとされる。
ロキソニンは、頭痛、かぜ、飲みすぎなどによく効くので、手放せない医師が多く、30人がお気に入りのクスリに挙げた。
眠くならないというこだわりから、アレグラ、ザイザル、タリオンなどの抗アレルギー薬を推す医師も多かった。
漢方薬をお気に入りに入れた医師は57人。多かったのは、かぜの引き始めの葛根湯、鼻水がひどいときの小青竜湯のほか、便秘などに効果が期待できる防風通聖散などだ。常時ストックして持っている医師も少なくなかった。
先発品かジェネリック医薬品かはどうか?34人がジェネリック医薬品を使わないと回答。一方、患者さんに出す以上、ジェネリック医薬品を使うという意見もあった。あえてジェネリック医薬品を使うと答えたのは、わずか4人だった。
慎重派から推奨派まで医師のタイプはさまざま
不眠時にメラトニンかロゼレム。メタボ予防に防風通聖散。感冒予防に漢方薬。きつい飲み会の前は五苓散。かなりのこだわり度も散見された。
不整脈を抑えるβブロッカー。食べ過ぎを予防するSGLT2阻害薬。かぜでつらいときに睡眠薬代わりに飲むPL配合顆粒など、専門医ならではの見立ても。
よほどでない限り、薬は極力服用しない慎重派から、自分で試してよければ患者にも出す推奨派、在庫になっている薬を自分で使って整理する堅実派まで多彩だった。
毒にもクスリにもならないクスリもあれば、口に苦い良薬もある。医師たちがよく飲んでいるクスリには、それなりの根拠や背景があることが分かった。医師たちのクスリへの意識や思い入れの一端を知ることができたのではないだろうか。
(文=編集部)