自動車の紫外線カットの弱点はサイドガラス?日焼けで白内障、皮膚がんのリスク

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自動車の紫外線カットの弱点はサイドガラス?日焼けで白内障、皮膚がんのリスクの画像1

運転中の紫外線対策も(shutterstock.com)

 タレントのキャシー中島さん(64)が、今年2月10日に皮膚がんの手術を受けていた事実を自身のブログで明かした。右目下に赤い点ができたのが1年半ほど前、半年後には小さなイボ状となり、その後はカサブタが出来ては剥がれ……、これをくり返したという。

 心配した愛娘で女優の勝野雅奈恵さんがネット検索で調べて病院行きをすすめ、組織検査の結果、「基底細胞皮膚がん」の診断を受ける。家族会議の末、夫の勝野洋さんからも「そんな傷はママにとってチャームポイントになるよ」と励まされて手術に臨んだそうだ。

 基底細胞皮膚がん(Basal Cell Carcinoma)は皮膚がんのなかでも最も多く、悪性度は比較的低い。基底細胞腫(Basalioma)とも称され、局所破壊性なので転移も稀である。早期手術を施せば治癒し、生命予後は良好だ。

 中島さんは「麻酔の注射が! 本当に痛かった!」と体験者のつらさを綴っている。真の原因は不明としつつ、「やはり陽に焼いたことが原因ではないかと思います」と自分なりの心当たりも記していた。

比較研究で判明した「保護率」の相違

 折しも先ごろ、日焼けに関する意外な知見が『JAMA Ophthalmology』(5月12日付・オンライン版)に掲載されたので紹介しておこう。

 米カリフォルニア州ビバリーヒルズにあるBoxer Wachler視覚研究所の研究報告によれば、車のフロントガラスが遮ってくれる紫外線A波(UV-A)の保護効果とサイドガラスのそれには、結構な差があるというのだ。

 双方の効果は、同等だと思い込んでいる向きが多いのではないだろうか?

 UV-Aに長時間曝露されると「皮膚がん」や「白内障」の発症率が上がる可能性が高く、それは従来からいわれてきた。では、運転中の自動車内での曝露量に対し、実際の保護効果はいかなるものなのか?

 Brian Boxer Wachler氏らは研究に際し、15社の車種計29台(1990〜2014年製造)を対象に選んで、ガラス越しの紫外線保護効果を調べた。各車のフロントガラス内側周囲のUV-A値と、同じように運転席側サイドガラス内側周囲の同値を、それぞれ測定した。

 結果、総じてどの車もフロントガラスのほうが保護効果が高く、サイドガラスでは低いという傾向が読み取れた。

 遮断の全車平均率は、前者が96%、対して後者が71%もの差が弾きだされ、サイドガラスでも保護効果の高い車種は全体の14%に過ぎなかった。

UV-Aのみでなく「B」対策も怠らない

 この研究結果をふまえ、Boxer wachler氏は「この実態がおそらく、左眼の白内障や左顔面の皮膚がんの有病率の高さに関与している可能性は否めない」と見解を述べている。つまり、米国では左ハンドル車の運転手に、紫外線の遮断効果の低い左側に白内障や皮膚がんが多くみられるという見立てだ。

 世界保健機関(WHO)はあらゆる波長の紫外線を「既知の発がん性物質」としている。また、別の専門家は、UV-AとUV-B(紫外線B波)の両方の保護効果が期待できる日焼け止めを使うことを推奨している。

 患部を切除した後、自然な皮膚の盛り上がりを待って、ようやく右目下のテープを剥がせたというキャシー中島さん。この間、気遣う周囲には「イボを取った」と釈明してきたが、今回のブログでは「やっと皆様にお話しできるようになりました」と喜びの弁を語っている。

 そして、最後に体験者の立場から「これから日差しがどんどん強くなります。日焼け止め、帽子、日傘などでどうぞ肌を守ってください」と、呼びかけている。乗車する機会の多いドライバー諸君は、車内でも日焼け対策は必携かもしれない。
(文=編集部)

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