運動なしで脂肪燃焼できる「遺伝子スイッチ」で肥満が解消できる!?

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楽して痩せる最終兵器が登場!?shutterstock.com

 肥満の原因を、遺伝子レベルで解明しようとする研究が世界中で行われている。このほど「New England Journal of Medicine」オンライン版に8月19日に掲載された研究によると、代謝を加速し、過剰な脂肪を熱エネルギーとして燃焼するのを促進する「遺伝子スイッチ」が脂肪細胞中で発見されたという。このスイッチを切り替えると、マウスの体重が半減し、ヒト脂肪細胞でも同様の作用が認められたという。

 つまり、睡眠中やリラックスしながらでも脂肪を燃焼して減量できる可能性が、遺伝子レベルの新しい研究で示唆されたことになる。

 責任著者である米マサチューセッツ工科大学(MIT)コンピューターサイエンス・コンピューター生物学教授のManolisKellis氏によると、「食べる量や運動量が同じでも、スイッチを切り替えたマウスは日夜、熱のかたちでエネルギーを燃焼した。代謝が、"エネルギー貯蔵"から"エネルギー放出"へと切り替わったことが示された」と述べている。

 これまでの研究では、『FTO』と呼ばれる遺伝子領域と肥満との強い関連が指摘されている。FTO遺伝子は、胃から分泌される食欲ホルモンである「グレリン」に深く関係し、食欲亢進や脂肪蓄積などの生理作用があり、さまざまな生活習慣病との関連が指摘されていた。FTO遺伝子変異のある人では、このグレリンの異常が起こりやすく、食事をした後でも短時間で食欲を感じやすい。
 
 例えば、359人の健康な男性を対象に行われたインペリアル カレッジ ロンドンにおける研究では、FTO遺伝子変異の低いグループと、高いグループに分け、グレリンの分泌にどれだけ差があるかを調べた。
 
 通常、グレリン値は食前に上昇し、食後に低下する。しかし、FTO遺伝子変異のある場合ではグレリン値が上昇しやすく、食後も低下しにくいので、空腹感を感じやすいことが分かった。また、FTO遺伝子変異のある人は、高カロリーの食事やスナック類などの摂取量が多く、総エネルギー摂取量に占める脂質の割合が高い傾向がみられた。

 こうした研究では、FTO変異がどのように体重を増加させるのか、その機序はいまだ不明だった。

遺伝子スイッチでマウスの体重が半減!

 今回の研究では、健康な欧米人100人の脂肪細胞を遺伝子レベルにまで詳細に調べた。対象者はすべて正常体重で、約半数が肥満リスクの遺伝子変異を有していた。調査の結果、肥満化を示す変異は、脂肪組織をつくる細胞内の他の2つの遺伝子、IRX3とIRX5を活性化することがわかった。

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