連載第18回 いつかは自分も……他人事ではない“男の介護”

「ひとりじゃない!」 男性介護者120万人をサポートする全国のコミュニティ

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荒川区男性介護者の会(オヤジの会)の勉強会(公式HPより

 昨年の話だが、2つのお祝いの式に呼ばれた。ひとつは、たぶん日本で初めての男性介護者の会「東京都荒川区オヤジの会」、もうひとつはこちらも京都市の行政区で初めてできた家族介護者の会「虹の会」(京都市西京区)。

 どちらも発足20周年を祝う会だ。東京のほうはあいにく体調を崩してしまい祝電での参加になったが、虹の会の式典は、関係の皆さまと一緒にお祝いすることが叶った。

新しい介護者の会が次々に組織される

 

 家族の介護によってつながるこのような組織や活動は、古くからあるものではない。高齢者介護に比して歴史のある障害者の分野でも、その家族の組織や活動といえば新しい領域だ。知的障害の子どもと暮らす代表的な親の会「手をつなぐ育成会」だって戦後世代だ。

 「3人のお母さんが知的な障害のあるわが子の幸せを願い」仲間に呼びかけて発足したのは1952年、いまでは30万人の大組織だ(手をつなぐ育成会ホームページより)。同じような立場にある幾千、幾万もの人が、小さな声に共振して結集した。「ひとりじゃない!」。もう社会から排除されるのではない、社会を動かす新しいケア・コミュニティの誕生だ。

 高齢の家族を介護する人や支援者の組織や活動も、同様の歩みをたどってきたに違いない。認知症の人と家族の会が京都で生まれ(1980年)、瞬く間に全国に広がっていった。社会福祉協議会の活動にも後押しされて、各地に虹の会のような家族介護者の会が次々に組織されていった。

 そして今、ケアメンやヤングケアラー、ワーキングケアラーという新しい介護者の集いや活動も生まれている。

男性介護者120万人のバトンが引き継がれる

 

 私たち男性介護ネットが交流している男性介護者の会や集いだけでも100を超える。ほっこり庵、ほっこりサロン、TOMO、咲咲会、きたいの会、ひだまり、ケアメンの会、ぼちぼち野郎の会――。これらは関西で活動している男性介護者の会だが、いずれもこの数年の間に産声を上げたものばかりだ。

 各地の男女共同参画センターや地域包括支援センター、社会福祉協議会、NPO法人、高齢者福祉施設という専門機関でも、男性介護者をテーマとした講座や集い、イベントが盛んに開催されている。支援者はもちろんだが、いつも男性介護者の参加があってにぎわっている。

 「ひとりじゃない!」。男性介護者120万人への呼びかけのバトンは、いま第1世代から第2、3世代へと懸命に引き継がれている。ケアのコミュニティが社会の希望の灯りとなる時代だ。


連載「いつかは自分も......他人事ではない"男の介護"」バックナンバー

津止正敏(つどめ・まさとし)

立命館大学産業社会学部教授。1953年、鹿児島県生まれ。立命館大学大学院社会学研究科修士課程修了。京都市社会福祉協議会に20年勤務(地域副支部長・ボランティア情報センター歴任)後、2001年より現職。専門は地域福祉論。「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」事務局長。著書『ケアメンを生きる--男性介護者100万人へのエール--』、主編著『男性介護者白書--家族介護者支援への提言--』『ボランティアの臨床社会学--あいまいさに潜む「未来」--』などがある。

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