連載第6回 ありがとうの心が通う、幸せ介護食

細かく刻んで混ぜたタケノコ入りのハンバーグ、ちょっとした工夫で介護食が"家族食"に

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 母の介護を始めて半年ほどたったある日のこと。当時大学生だった娘が毎日の料理に文句を言った。

 「こんな軟らかい食事ばかりだと、おいしくない」

 私は、ハッとした。脳梗塞で倒れたた母は、医師からは「2、3日の命です」と言われたものの奇跡的に命を取りとめた。しかし、言葉がうまく話すことができなくなり、飲み下しにくくなる嚥下障害を起こしていた。

 在宅介護となって以降、要介護度3の母が、毎日、食べやすいように軟らかい料理ばかりを作っていて、家族には娘のような若者がいることに考えが及んでいなかった。娘から文句を言われ、「これからは母だけでなく、家族も一緒においしく食べられる料理を考えなくては」と気持ちを新たにした。

 しかし、母に合った料理だけを別に作ってもいいのだが、そうすると手間がかかるし、母も自分だけ違うものを食べることに疎外感を覚えることになる。そこで、ちょっとした工夫を加えてみることにした。

介護食もひと工夫で家族食に

 たとえばホウレンソウのゴマ和えなら、ほかの家族にはさっと茹でてシャキシャキ感を残し、母の分は軟らかくなるまで十分茹でてから少しだけ刻むようにする。食べるときに、それぞれにゴマ醤油を和えるようにすれば、同じ料理をみんなでおいしく食べられる。ほかの家族には1品追加することもあるが、小食の母は納得顔だった。

 春は、家族全員が大好きなタケノコが旬。そこで、タケノコ入りのハンバーグを作ることにした。細かく切ってあれば、母でも難なくタケノコを食べられる。介護食っぽくなく、普通の料理として食べられるので、娘も文句は言わない。
 
 母には、「タケノコが入っているのよ」と言ってすすめると、うれしそうな母と満足そうな家族、みんなそろって食卓を囲んだ。

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家族みんなが満足。タケノコの程よい食感が残るハンバーグ

「タケノコ入りハンバーグ」の作り方

①鶏モモのミンチ肉に塩と酒を入れてよく練り混ぜ、つなぎに溶き卵と片栗粉を加えてさらに混ぜる。

②そこに炒めたタマネギ、粗みじんに切ったタケノコ、シイタケ、おろしショウガを入れて混ぜ合わせる。

③これを小判形に成形し、こんがりと色がつくまでソテー。

④薄口醤油、みりん、砂糖で味を調え、水溶き片栗粉でとろみをつけたあんを上にかけて仕上がり。

⑤色づけに、木の芽を散らした。

連載「ありがとうの心が通う、幸せ介護食」バックナンバー

横田節子(よこた・せつこ)

家庭料理、介護食研究家。1953年、大阪生まれ。2000年秋、同居中の実母が脳梗塞で倒れ、介護のため、自宅での料理教室を閉鎖。2005年、母の介護中、母が食べる様子をヒントに『介護しながら作る介護食』(日本経済新聞社)を出版。同書の出版以来、介護食に関する講演、講習会、取材が多数。

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