連載第4回 薬は飲まないにこしたことはない

インフルエンザの予防接種をすべきか否か? ワクチンの副作用リスクを考える

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ワクチンを受けるも受けないも自己責任/shutterstock

 今年もインフルエンザの季節がやって来た。学校や勤務先から、インフルエンザ流行前にワクチン(予防接種)を受けるよう促され、半ば義務感から、あるいは、あまり深く考えることなく接種したり、子供に受けさせたりしている人もいるだろう。

 だが、「ワクチンさえ打てば大丈夫」という考えは大きな間違いだ。インフルエンザワクチンに対しては、その是非が問われており、「打つ必要がない」または「打たないほうがよい」という見方もある。その大きな理由が副作用である。

 医学史上最大の発明であるといわれるワクチンだが、一方では重篤な副作用を引き起こす可能性も指摘されている。ワクチンの役割は、病原体(ウイルスや細菌)をあらかじめ投与し、ウイルスに対する抗体を作り、病気にかかりにくくすることだ。しかし、体内に入れた病原体自体が活性化してしまっては意味がない。

 それを抑えるために使われているのがホルマリンだ。ただしホルマリンは、接着剤や防腐剤にも使われ、発がん性もある劇薬である。さらにインフルエンザワクチンには、水銀やアルミニウムなど体に害を与える物質も含まれる。こうした有害物質を取り込むのだから、そのときの体調次第で副作用が発現しても不思議はない。

 もちろん接種したからといって必ず副作用が起こるわけではないが、これまでにアナフィラキシーショック、末梢神経障害のギランバレー症候群、黄疸、肝機能障害、ぜんそく、脳炎、脳症など、さまざまな例が報告されている。なお、インフルエンザ用にかぎらず、その他のワクチンでもこうした深刻な副作用が認められる。

インフルエンザワクチンを打つべきか否か?

 インフルエンザの「型」は毎年異なるため、厚生労働省は流行する型を予測してワクチンを準備する。予測が当たるかどうかは、シーズンにならないと分からない。ある意味、賭けのようなものだ。

 また、インフルエンザウイルスはどんどん性質を変えていくため、効果が出るかどうかはますます疑わしくなる。さらに新型インフルエンザの場合、ワクチンを急遽用意しなくてはならないことから、安全性テストが不十分なまま接種が行われることもある。

 ワクチン効果への疑問は今に始まったことではない。1987年、群馬県前橋市医師会による疫学調査において、「効果には疑問がある」という報告が行われた。それが発端となり、7年後の1994年、それまで学校で行われていたインフルエンザワクチンの集団接種が、全国的に中止されたのである。

 世の中には、ワクチンを接種したのにインフルエンザにかかる人もいれば、打たなくても発症しない人もいる。発症するかしないかは、接種の有無以前に別の要因によるところが大きい。

 それは各自が持つ免疫力だ。高い免疫力があればウイルスに打ち勝つ可能性があり、免疫力が低下しているとウイルスに負けてしまう。従って、インフルエンザに対抗するためには、まず環境や生活習慣、食生活などを改善し、免疫力をアップすることが重要になるだろう。

 ワクチンの効果は、人によって異なるだけでなく、心身の状態やタイミングにも左右される。打たないと不安になるのなら接種したほうがよいが、そうでない場合は副作用が懸念される異物をわざわざ体内に取り込む必要はない。

 自分の体は自分のもの。ワクチンを受けるも受けないも自己責任だ。まず、今の自分の体と心の状態はどうなのかを見極めてほしい。ワクチン接種には、常に慎重な判断が求められる。


連載「薬は飲まないにこしたことはない」バックナンバー

宇多川久美子(うだがわ・くみこ)

薬剤師、栄養学博士(米AHCN大学)、ボディトレーナー、一般社団法人国際感食協会代表理事、ハッピー☆ウォーク主宰、NPO法人統合医学健康増進会常務理事。1959年、千葉県生まれ。明治薬科大学卒業。薬剤師として医療の現場に身を置く中で、薬漬けの医療に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を活かし、薬に頼らない健康法を多方面に渡り発信している。その他、講演、セミナー、雑誌等での執筆も行っている。最新刊『薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法』(光文社新書)が好評発売中。

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